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■女性社員活躍の必要性

就労人口の減少に伴って採用市場の競争率は年々増加の一途をたどっており、あと10年もすれば、女性社員の活躍がなければ企業経営が成り立たない時代がやってくるでしょう。

労働者の確保という理由に留まらず、多様性のある企業として成長していくために、女性社員の存在は必要不可欠です。

 

「結婚・出産を機に、女性が辞めてしまう」と嘆く人事担当者・経営者の方の声も聞かれますが、すべての女性がライフスタイルの変化をきっかけに退職を考えると思い込むのは早計です。

 

求人サイト「エン転職」の会員2151名を対象に行ったアンケート調査で、「結婚、出産、育児などライフスタイルの変化があっても、これから先もずっと働き続けたいとお考えですか?」という質問をしたところ、実に76%の女性求職者が「はい」と回答しています。

 

「はい」と答えた理由は、「生活のために収入が必要」といった経済面に関するものから、「社会とのつながりを感じたい」という自己実現に関するものまで様々です。

 

こうした背景を踏まえ、企業側は女性の「仕事を続けたい」という意志を汲み取って、フォロー体制を構築していく必要があります。

 

 

■フォローのポイント1:休暇取得の段階に応じた適切な情報提供

大きく分けて、「休みに入る前」「休みの最中」「復職を控えた時期」で、休暇取得者が必要とする情報は異なります。一つひとつ見てみましょう。

 

(1)休みに入る前

・産休・育休のスケジュール

・産休・育休に関する社内規定

・休暇取得中の公的手当金の手続き方法

・社会保険について

⇒直接顔を合わせて説明するのがベストです。

 難しいようであれば資料を提供し、不明点を休みに入る前に問い合わせてもらいましょう。

 

(2)休みの最中

・全社的なニュース、社内報

・企業の推奨資格やそれに関する書籍など

⇒ブランクへの不安を埋めるための措置です。

 企業の情報をメールマガジンなどで共有することで、スムーズな復職を促します。

 

(3)復職を控えた時期

休みに入る前の告知も可能ですが、改めて時短勤務制度などの社内制度の確認が必要です。

復職の不安を取り除きつつ、復職後の勤務時間や業務に関する内容について打ち合わせるといいでしょう。

 

休暇取得中や復職後に感じた制度の課題点があれば、面談などの機会を設けてヒアリングし、次の休暇取得者のフォローに活かしましょう。

質問された内容を記録し、Q&Aとしてまとめて社内に周知すると、説明の手間を省くこともできます。

 

 

■フォローのポイント2:過剰な配慮を避ける

復職後、育児への影響に配慮した時短勤務や、比較的仕事が楽と思われる部署への異動もまた、休暇取得者のフォローとして考えられますが、本人の意思を問わない異動や制度の実施によって、社員のモチベーションを大きく低下させるケースも見られます。

 

休暇を取得する前に高いパフォーマンスを誇っていた社員ほど、復帰後のキャリア形成について前向きな傾向があります。

そうした社員の就労意欲を削ぐことなく、活躍の場を提供することもまた、フォロー体制を築く上でのポイントです。

 

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」にも、以下のような条文があります。

 

=====

事業主は、育児休業申出並びに育児休業後における就業が円滑に行われるようにするため、育児休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置その他の雇用管理、育児休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等に関して、必要な措置を講ずるよう努めなければならない

――第22条

=====

 

上記は義務ではないため、業務の性質上、どうしても休暇取得前の部署への復職が難しい場合は事前に話し合いを重ね、双方納得の上で異動してもらうようにしましょう。

 

 

■人事・労務面の注意点

産休・育休は人によって時期や期間が異なるため、一人ひとりに細かなフォローをするのに大きな労力を必要とします。

さらに、「出産手当金」や「育児休業給付金」など、休暇取得中の生活保障に関する手続きも別途行う必要があります。

 

人事労務に携わる方はまず、煩雑な作業をできるだけ簡略化するため、フォーマット化できる資料や汎用性の高い資料を作成しましょう。

下記はその事例です。

 

●産休・育休カレンダー

●各種手当金の手続き一覧表

●産休・育休・復職にまつわる就業規則・規定・内規の一覧表

●推奨資格・推奨図書一覧表

●産休から復職までの流れ一覧表

 

これらの資料を休暇取得者に共有するだけでも充分なフォローができます。

休暇取得者からの質問を減らすこともでき、人事労務の負担を減らすことにもつながります。

資料作成に手間はかかりますが、労力に見合ったメリットが見込めますので、試してみてください。

 

 

■まとめ

産休・育休のフォローは比較的長い期間にわたって続けていく必要があるため、初めから内容にこだわり過ぎてしまうと、途中で行き詰まってしまう恐れもあります。

これまで述べてきたフォーマットの作成や、産休・育休に関する問い合わせができる窓口を設けるだけでも、休暇の取得を考えている社員に安心感を与えることができます。

 

また、産休・育休についての理解を社内に広めていくことも大切です。

復職後、周囲より早く帰宅することや子どもの体調不良で急に休まなければならなくなることに申し訳なさを感じるママさんもいます。

フォロー体制を整えた上で、育児との両立に理解のある環境づくりもまた、女性の長期の活躍を支えていくのです。

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