社員のモチベーションは業務の生産性や定着率にも大きく影響を与えます。
社員がモチベーションを高く保ち続けられれば、企業とっても大きなメリットがあるのです。
しかし、「どうすればモチベーションを上げられるのか分からない」など、お悩みの方も多いのではないでしょうか
そこで、今回は社員のモチベーションを上げる方法について解説します。
実際にモチベーションを上げるために企業が実施している具体例についてもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
そもそもモチベーションとは?
モチベーションとは、何らかの行動を起こす際の原動力となるものです。
モチベーションの語源は、ラテン語の「movere」と言われており、英語の「move(動く・動かす)」と同じ意味です。
「move」には、「目的のために動かす」という意味も含まれることから、モチベーションは、目標に向けて行動する原動力(動機)と定義できます。
日本で使われるときの意味合い
日本では、「やる気・動機づけ・意欲」といった意味で使われます。
モチベーションは「目標達成のための原動力」であるため、モチベーションが低いと行動する気力が起きなくなり、成果を得られません。
一方、モチベーションの高い社員は、スキルアップに向けた努力を行ったり、業務改善に取り組んだりするため、高い成果も期待できるでしょう。
したがって、仕事をする上でモチベーションは非常に重要なのです。
社員のモチベーションによる業務への影響
モチベーションへの理解が深まったところで、社員のモチベーションが業務にどのような影響を与えるのか見ていきましょう。
生産性への影響
モチベーションは、何らかのアクションを起こす際に必要となる原動力です。
仕事へのやる気がなく、だらだらと業務をこなしていては当然、生産性も下がってしまいます。
モチベーションを上げることで、意欲的に仕事へ取り組んだり、主体的に業務を改善しようとしたりするため、必然的に生産性が向上するのです。
社員の個々の能力への影響
モチベーションが下がると、目の前にある業務を「ただこなすだけ」になってしまい、スキルアップや能力開発に消極的になります。
しかし、モチベーションが上がると、目標達成のために意欲的に仕事へ取り組むため、業務を効率化させる工夫やスキルアップ・能力開発を積極的に行おうとします。
そのため、モチベーションは社員個人の能力にも影響を及ぼすのです。
組織への影響
モチベーションが低いと、周りに暗い雰囲気を漂わせたり、不平・不満などネガティブな言動を発したりすることが多くなり、他の社員のモチベーションも低下させてしまいます。
モチベーションが高い社員は、同僚や周囲にも気を配って仕事をしたり、ポジティブな発言や業務への工夫をしたりするため、他の社員にも良い影響を与えます。
モチベーションは生産性にも影響するため、モチベーションの高い社員が増えていけば、組織活性化に繋がるのです。
定着率への影響
モチベーションが低いと、エンゲージメント(社員が企業に対して抱く愛着)も低くなる傾向にあるため、離職されてしまう可能性が高くなります。
しかし、モチベーションが高い状態では「業務の幅を広げてキャリアアップしたい」と意欲的に働くようになり、エンゲージメントも向上するため、定着率が高まるのです。
モチベーションは、報酬や環境のような外的要因も影響するため、働きやすい環境を整えることも重要です。
モチベーションを上げる方法
モチベーションは、業務の生産性向上や社員の定着率向上など、企業に大きな影響を与えることが分かりました。
ここでは、社員のモチベーションを上げる方法について見ていきましょう。
会社のこれからの方針を経営者が明確に伝える
社員のモチベーションを上げるには、会社の方針を経営者が明確に伝えることが重要です。
自分の行っている業務が、組織や社会の役に立っているのか分からなければ、モチベーションを上げるのは難しいでしょう。
企業は、今後どのようなことをして、どうなっていきたいのか、実現したいビジョンや方針をしっかりと社員に伝えることが重要です。
方針が明確になれば業務の目的が分かるため、モチベーションを上げやすくなりますよ。
会社の人間関係を良好にする
人間関係はモチベーションに大きく影響します。
人間関係の悪い環境にいる時、ストレスを感じたり、気持ちが塞がってやる気が出なかったりした経験はありませんか?
企業は毎日のように長い時間過ごすことになるわけですから、人間関係が社員のモチベーションに及ぼす影響は大きいです。
人間関係が良好であれば、モチベーションを上がりやすくなるため、社内コミュニケーションを活発化させて風通しの良い環境を作りましょう。
例えば、
・従業員満足度調査(ES)を実施して、課題を把握する
・社内コミュニケーションツール(SlackやChatWorkなど)を活用する
・相談窓口を設ける
といった不満解消や円滑なコミュニケーションを行える体制づくりが挙げられます。
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人事評価を整備する
人事評価は従業員にとって昇給や昇格の掛かった重要事であるため、モチベーションを大きく左右します。
どれだけ頑張って仕事をしても、評価されなければモチベーションは下がってしまいますし、目指すべき方向性や基準が分からなければ、努力のしようもありません。
納得感のある評価とフィードバックを行うには、
・評価基準を明確化し、社員へ周知させる
・360度評価を取り入れて公平性を担保する
・1on1ミーティングで行動改善を促すなど、評価のフィードバックを行う
といった方法が挙げられます。
頑張りを評価されると「周囲に認めてほしい」という承認欲求が満たされて、モチベーションが上がりやすくなります。
適正な評価を行えるよう、人事評価制度を整備しましょう。
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成果を上げた人を表彰する
適正な人事評価の結果を給与や賞与に反映させるのはもちろんのこと、成果を上げた人を表彰することもモチベーションアップに効果があります。
給与や賞与のようにセンシティブな情報は公表できないため、他の従業員にはどういった評価がされているのか分かりません。
しかし、成果を上げた人を表彰すれば、「会社全体で評価される」ことが明確に分かるため、「自分も表彰されたい」と感じるようになり、モチベーションが上がりやすくなります。
また、他の社員からも評価されるため、表彰された本人も承認欲求が満たされ、より一層モチベーションアップに繋がるのです。
社員が積極的にチャレンジできる環境を作る
チャレンジできる環境がない場合、「他の業務のことは自分に関係ない」と考えがちです。
目の前の業務だけをこなすようになるため、高いモチベーションを維持するのは難しいでしょう。
社員のモチベーションを上げるには、
・新製品やサービス、改善案のアイデア出しを行う社内コンテスト
・空きのある職種・ポストへの異動希望者を募る社内公募
のように、積極的にチャレンジできる環境を整えることが重要です。
ワークライフバランスの充実
長時間労働の常態化していると、ストレスや疲労が蓄積されモチベーションの維持どころか心身の健康を損ねる危険性があります。
事実、2015年12月には、大手広告代理店の社員が長時間労働により発症したうつ病を原因として自殺した、痛ましい事件も起きました。
こうした事件が問題となり、2019年4月からワークライフバランスの実現を目的とした働き方改革が順次施行されています。
ワークライフバランスを実現することで、趣味や勉強へ充てる時間ができるため、高いモチベーションを維持できるようになるのです。
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社員のモチベーションを上げるために行っている企業の施策具体例
では、社員のモチベーションを上げるために、他の企業はどのような施策を講じているのでしょうか。
ここでは、企業が実際にモチベーション向上のために行っている事例をご紹介します。
株式会社カヤック:スマイル給
Web制作・企画などを行っている株式会社カヤックでは、社員の長所を評価する「スマイル給」給与制度を設けています。
社員全員が毎月ランダムに別の社員1人を評価し、その社員を褒めるというルールです。
評価された内容は「即戦力給」「ぶれない給」のようなキャッチコピーと共に、給与明細へ記載されます。
実際に給与として支給されるわけではありませんが、他者から褒められるとモチベーションも上がりますし、コミュニケーション活性化にも繋がります。
株式会社オリエンタルランド: I have アイデア
ディズニーランド施設を運営しているオリエンタルランドでは、アイデアを提案する制度「I have アイデア」があります。
I have アイデアは、ゲストに喜ばれる商品やサービス、フードのアイデアをアルバイト・パート関係なく、全社員(キャスト)が気軽に提案できる制度です。
年1回グランプリが選ばれ、表彰式も開かれています。
キャストのアイデアから生まれた商品もあり、2018年度のI have アイデア応募数は1,953件と積極的に参加していることが伺えます。
モチベーションをアップさせて生産性を向上
ご紹介した通り、モチベーションは業務の生産性や社員の定着率に大きな影響を与えます。
労働力人口が減少し人手不足が深刻化している現在、企業にとって生産性や定着率の向上は重要課題として挙げられるでしょう。
適正な人事評価制度や表彰制度の設定、ワークライフバランスを意識した労働環境の整備で社員のモチベーションを維持・向上させることができます。
この記事を参考に、モチベーション向上の施策に取り組んでみてはいかがでしょうか。