採用マーケティングとは?

採用マーケティングとは、マーケティングの考え方や手法を採用活動に取り入れることを指します。なので、採用マーケティングについて理解をするためにはまず、「マーケティング」について知る必要があります。

 

マーケティングとは

そもそもマーケティングの定義をご存じでしょうか。

 

なんとなくPRや広報、市場調査などをイメージする人も多いと思いますが、これらはマーケティングの要素の一部でしかありません。

 

マーケティングについてはマネジメントなどの著書で有名な「ドラッガー」と、数々のマーケティング理論を唱えている「コトラー」がそれぞれ下記のように定義しています。

 

ドラッカーによるマーケティングの定義

マーケティングの目的は顧客のニーズを十分に理解し、顧客のニーズに合った製品が自然に売れるようにすること。

 

コトラーによるマーケティングの定義

どのような価値がターゲット市場のニーズを満たすのかを探り、その価値を生み出して顧客に届けることで利益を上げること。

 

言い回しは異なりますが、どちらも同じようなことを言っているのがわかります。

 

これらの定義から、マーケティングとは「顧客が買いたくなる仕組み、つまり売れる仕組みを作ること」となります。

 

マーケティングの手法は市場調査や広告宣伝、効果検証など多岐にわたり、これらの手法を活用して売れる仕組みを作っていくのです。

 

この考え方は採用活動にも活かすことができ、その活動を採用マーケティングと呼んでいます。

 

採用マーケティングとは

採用マーケティングとは採用活動にマーケティングの考え方や手法を取り入れたものです。

 

マーケティングの定義に採用をあてはめると、採用マーケティングとは「求職者が入社したくなる仕組み、つまり採用できる仕組みを作ること」となりますね。

 

採用においても、マーケティングが大いに活用できるということから採用マーケティングが広まっていったのです。

 

なぜ採用活動にマーケティングが必要?

従来の採用活動では、応募者を待つスタイルでしたが、採用マーケティングではそのスタイルにこだわらず、いかに採用を成功させるかという点を考えて活動します。

 

では、なぜこういった活動が必要になったのかをみていきましょう。

 

採用競争の激化

近年、少子高齢化の影響により労働人口が減少しています。

 

さらに、インターネットの発達やグローバル化によって、フリーランスとして働く人も非常に増えており、多くの企業が深刻な人手不足に陥っています。

 

このような背景から、採用市場は一人の求職者を複数企業で取り合う「売り手市場」になっているため、思うように採用ができない状況が続いているのです。

 

そこで、企業としては転職市場には出ていない「転職潜在層」へのアプローチや多様な採用手法を活用するといった戦略的な採用活動が必要になり、その中でマーケティングの考え方や手法がとても有効になるため重要視されています。

 

採用手法の多様化

採用難の現状に対応するように、採用手法も多様化しています。

 

従来の求人広告による採用だけではなく、企業が求職者へ直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」や社員の紹介からの応募で採用を行う「リファラル採用」などの新しい手法が続々と出てきています。

 

これからは自社で手法を選択し運用していく必要があるため、企業自身の採用力強化が必須になります。

 

自社で採用できる仕組みを作るという点において、マーケティングの考え方や手法が重要視されているのですね。

 

採用マーケティングの概要

採用は、「認知(潜在層)」⇒「興味(顕在層)」⇒「応募」⇒「選考・内定」といった過程で進んでいきます。

 

採用マーケティングではこれらの過程を下記のようなファネル(ろう斗)にあてはめて、社員に近づくにつれて人数が減っていくことを表し、それぞれの段階における対策を考えていくのです。

 

では、各段階についての解説とどのような対策が考えられるかについてみていきましょう。

 

 

認知(潜在層)

この段階では、「自社について知ってもらうこと」が目標です。

 

就職・転職の意思にかかわらず、求めるスキルや行動特性などを保有している潜在層が対象となります。

 

全く知らない会社は、応募の候補にも入りません。

 

競争率の高い採用市場に出てくる前から自社の存在を認知してもらえば、候補に入りやすくなります。

 

SNSや動画投稿サイトなどを活用した積極的な情報発信を行って、ターゲットと接点を持てるようにしましょう。

 

興味(顕在層)

認知してもらったら次は、「自社に興味を持ってもらうこと」が目標です。

 

就職や転職をするために行動している顕在層が対象となります。

 

求職者にアプローチするには、採用動画や企業のPR動画、会社説明会などを活用して、組織の風土や福利厚生といった魅力を伝えましょう。

 

動画作成やコーポレートサイトの作成にはある程度コストは掛かりますが、情報を蓄積していけば資産になります。

 

応募

この段階では、「応募してもらうこと」が目標です。

 

採用ターゲットから就職先・転職先の候補として選んでもらうには、求職者が実際に働いているイメージができるような情報を発信する必要があります。

 

具体的な仕事内容やキャリアパス、研修制度、社員インタビューなどで自社についての理解を深めてもらいましょう。

 

また、カジュアル面談のような選考とは直接関係なく、気軽に話せる機会を設けると応募してもらいやすくなりますよ。

 

選考・内定

選考・内定の段階では、「入社意向を高めること」が目標です。

 

多くの求職者は、複数の企業で並行して選考を受けているため、常に比較・検討されています。

 

選考過程で候補者の入社意向を高めるには、面接時に自社の魅力やキャリアについてなど求職者のメリットを伝えることが重要です。

 

ただし、ポジティブな面ばかり伝えると入社してからギャップを感じる可能性も高いため、「仕事の厳しさ」なども併せて伝えましょう。

 

また、せっかく内定を出しても、辞退されてしまうとそれまで掛けてきた時間やコストが無駄になってしまいます。

 

内定者に入社してもらうには、入社までモチベーションを維持し、不安や疑問を解消することが重要です。

 

職場見学や面談、食事会、社内イベントなどの内定者フォローを適宜行い、交流を深めましょう。

 

内定者フォローと言われても具体的に何をしたらいいのかわからないという方は「適切な内定者フォローとは?内定辞退を減らすためにできること」をぜひご覧ください。

 

また、内定承諾率が低くて悩んでいるという方は、「内定承諾率とは?新卒採用の内定承諾率を上げるためにできること」を参考にしてみてくださいね。

 

採用マーケティングに関わる思考法とフレームワーク

採用マーケティングに役立つ思考法やフレームワークをご紹介します。

 

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは、顧客が商品・サービスを購入するまでの行動や思考、感情といった過程のことを指します。

 

採用活動に転用する場合、先にご紹介したファネルの段階ごとに、候補者の行動などを可視化することで、有効な施策を打ち出しやすくなります。

 

3C分析

3C分析とは、

 

・Customer(市場・顧客)

・Competitor(競合)

・Company(自社)

 

の3つを分析することで状況を把握し、自社の戦略に活かすためのフレームワークです。

 

これを採用マーケティングに置き換えると、

 

・Customer(自社の採用要件にフィットする人材)

・Competitor(採用競合となる企業)

・Company(自社の強み・弱み)

です。

 

採用市場における自社の立ち位置を把握できるため、人材戦略を練る際にも有効な施策を打ち出しやすくなります。

 

SWOT分析

SWOT分析とは、他社と比較して有利な点や不利な点など明確にし、自社の現状を分析するためのフレームワークです。

 

・Strength(強み)

・Weakness(弱み)

・Opportunity(機会)

・Threat(脅威)

 

の4項目ごとに、どのような要素があるのか洗い出します。

 

「効率よくターゲットへ魅力を発信するにはどうするべきか」といった採用戦略を練る際に有効な手法です。

 

ペルソナ設定

ペルソナとは、商品・サービスを提供する典型的な顧客像です。

 

年齢や性別、趣味、家族構成などの情報を細かく設定し、実在する人物であるかのように作り上げます。

 

ペルソナ設定は綿密に人物像を作り上げることで顧客のニーズを掴み、それに合う商品を提供するために必要な家庭となります。

 

採用したい人物像を作り上げることで、理想的な人材に効率よくアプローチできる施策を練りやすくなりますよ。

 

ペルソナ設定の流れは「採用活動に必須の「ペルソナ」とは?設定方法やその効果をご紹介」でご紹介しています。

 

タレントプール

タレントプールとは、採用候補となり得る人物に対して継続的にコンタクトを取り続けることで人材を蓄える仕組みおよびそのデータベースのことを指します。

 

採用活動時期に合わせて有望な人材へアプローチできるため、効率よく採用活動を行えます。

 

タレントプールの詳細は「採用難のいまこそ活用!タレントプール」をご参照ください。

 

5A理論

5A理論とは、コトラー氏が提唱した購買プロセスの理論です。

 

コトラー氏はインターネットやSNSの普及した現在、

 

・認知(Aware)

・訴求(Appeal)

・調査(Ask)

・行動(Act)

・奨励(Advocate)

 

の順で購買プロセスが進むと提唱しています。

 

求職者が意思決定する流れを分析すれば、マーケティング手法を考えやすくなります。

 

採用マーケティングによって得られる効果

採用マーケティングについて色々と説明してきましたが、採用マーケティングを取り組むことでどのような効果が得られるのでしょうか。

 

費用対効果の高い採用活動ができる

求人広告への掲載や人材紹介サービスの利用といった従来の採用手法は、高額な外部コストが掛かります。

 

採用マーケティングによって現状の把握や求める人物像の明確化を行えば、

・ダイレクトリクルーティング

・オウンドメディアリクルーティング

・ソーシャルリクルーティング

といった新しい手法を活用できるため、外部コストの削減が可能です。

 

また、効果的な採用活動ができると採用期間の短縮にも繋がるため、費用対効果の高い採用活動ができます。

 

それぞれの手法について詳しく知りたい方は下記を参考にしてください。

 

ダイレクトリクルーティングについて:「ダイレクトリクルーティングとは?新卒・中途それぞれに適したサービスもご紹介!

オウンドメディアリクルーティングについて:「オウンドメディアリクルーティングとは?その方法から効果まで解説

ソーシャルリクルーティングについて:「ソーシャルリクルーティングとは?

 

採用要件にフィットした人材を獲得できる

採用マーケティングでは、求める人物像の明確化が必須です。

 

求める人物像が明確になれば、それに沿った選考基準を設定できるため、求職者は「企業がどういった人材を求めているのか」理解して応募してきます。

 

また、面接官による評価のズレを軽減することにも繋がるため、採用要件にフィットした人材を獲得できるのです。

 

自社の採用力が上がり、安定した採用活動ができるようになる

採用マーケティングでは、求める人物像の明確化や市場・自社の分析、効率的なアプローチ方法を検討し、実践していきます。

 

従来の採用手法のような中間業者任せではなく、マーケティングの概念をもとに自社で採用活動を行うため、採用力の底上げに繋がります。

 

データも蓄積していくため、根気強くPDCAを回していけば採用成功率も向上していくでしょう。

 

継続的に採用マーケティングを行っていけば、自社の採用力が上がり、安定した採用活動ができるようになります。

 

今いる従業員の満足度があがる

求める人材へアピールするには、その人材が魅力を感じる環境を整える必要があります。

 

「能力を発揮し、成長している環境であるか」「帰属意識を持ち、貢献したいと思える組織か」といった観点から魅力を洗い出すことで課題が明らかになります。

 

評価基準や研修制度、働き方などを整備すれば、魅力的な組織を構築できるため、従業員の満足度が上がり、定着率向上も期待できるでしょう。

 

採用マーケティングの具体的な手法

採用マーケティングには様々な魅力があることが分かりました。

 

ここでは、具体的な手法をご紹介していきます。

 

人物像の明確化

事業の拡大や縮小を踏まえた上で、人材要件を決めましょう。

 

例えば、営業力の強い人材を採用したい場合は、自社トップセールスマンの行動特性を分析し、採用戦略に基づいて人物像を明確化させます。

 

人物像の要件設定は明確かつ具体的なほど、その後のプロセスがスムーズに行えるため、丁寧に定義することが重要です。

 

自社・競合他社の調査

求める人物像を獲得するには、自社の魅力や強みをターゲットに伝える必要があります。

 

漠然と考えるのではなく、3C分析やSWOT分析などのフレームワークを活用しましょう。

 

自社・競合他社を分析し、自社の強みや弱みを洗い出すと、アピールしやすくなります。

 

ファネル別に課題を整理

今までの採用活動を各ファネルに当てはめて、課題を抽出します。

 

課題抽出では、潜在層~応募の段階ごとに各チャネルの「アプローチ方法」や「発信した情報の内容」「広告施策」を中心に精査します。

 

広告に対する応募率や、アクション実施後の費用対効果としてKPIを設定すると、課題の発見・改善策立案をしやすくなります。

 

例えば、「SNSの広告から自社採用サイトへ集客はできているが、応募率が低い」という課題があった場合、

 

・応募フォームの導線を分かりやすくする

・社員インタビューを掲載して、理解度を高める

 

など、応募率の改善策が挙げられます。

 

優先順位を決めて実行

課題の改善策を立てたら、アクション実施の優先順位をつけて実行します。

 

優先順位を付ける際は、施策ごとの費用や効果を加味しましょう。

 

施策の一例として、

 

・掲載している求人内容や求人サイトの見直し・変更

・オウンドメディアの運用

・採用管理システム導入

・運用するSNSの選択

 

などが挙げられます。

 

求める人物像を明確にした上で、「求人内容や求人サイトの見直し」や「運用するSNSの選択」を行うと、効果を実感しやすいです。

 

効果分析・改善提案

採用プロセスが一段落したら、施策を振り返り「次回採用のための改善」を行うことが重要です。

 

採用プロセスの中で起きた問題やミスマッチ採用、応募率、離職率など、課題を明確にしてPDCAを回していきましょう。

 

また、採用マーケティングでは、求職者の動向やニーズの変化に素早く対応しなくてはならないため継続的な市場調査が大切です。

 

採用マーケティングを効果的に取り入れた事例

実際に採用マーケティングを効果的に取り入れた企業の事例をご紹介します。

 

株式会社メルカリ

施策:オウンドメディア「mercan(メルカン)」を活用

 

2016年5月にスタートしたメルカンは、社員インタビューなどの記事を掲載し、社員紹介や社内の雰囲気を伝えています。

企業にフィットする人材を効率よく集められています。

 

株式会社メドレー

施策:ビジネス特化型のSNSを活用

 

全国の病院や診療所で導入されているオンライン診療システムなどを運営している株式会社メドレーは、SNSを活用しています。

 

入社理由や社員紹介をビジネス特化型SNSのWantedlyで公開することで、効率よく価値観の合う人を集められています。

 

採用マーケティングを効果的に取り入れて採用成功を目指そう!

空前の売り手市場が続いている現在、応募者を待つ従来の採用手法では母集団の形成が難しくなっています。

 

少子高齢化が進む今後は、更なる採用競争の激化が予想されることから、自社で積極的に採用活動を行っていく必要があると言えるでしょう。

 

この記事を参考にマーケティングの考え方や手法を取り入れ、効率よく効果的な採用活動を目指してみてはいかがでしょうか。

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