「新卒採用のスケジュールって年々変わっているけど、今年はいつ解禁だっけ?」度々の就活ルール変更によって今の新卒採用のスケジュールを正しく把握できていないという方もいるのではないでしょうか。
また、スケジュールは分かっているけど、企業としていつ、どう動いていいかわからないという方もいるかもしれません。
新卒採用では、採用スケジュールを正しく理解して適切なタイミングで採用活動を行う必要があります。
今回は、2021年卒の新卒採用スケジュールを学生、企業それぞれについてご紹介します。
2020年から2021年に!新卒採用のスケジュールはどう変わった?
年々変わりゆく新卒採用のスケジュールですが、2020年から2021年にかけてどう変化したのでしょうか。
結論から言うと、スケジュール自体に変更はありませんでした。
なので、2021年も引き続き3月に採用広報が解禁、6月から選考活動が解禁、10月より内定通知が解禁というスケジュールになります。
新卒採用のスケジュールを決める「就活ルール」
そもそも、新卒採用のスケジュールは「就活ルール」という経団連(経済団体連合会)が定めた企業の採用活動に関するルールに沿って決められているのはご存じですか?
就活ルールは、就職活動が学業や学生生活の妨げにならないように定められたもので、経団連に加盟している企業はここに記載されている採用日程に沿って採用活動を行う必要があります。
しかし、2022年卒の新卒採用からこの就活ルールが廃止されることが決定しているのです。
その理由としては
・経団連非加盟企業は解禁日前から内定を出している
・就活ルールには罰則がないために、加盟企業でも解禁日前から内定を出してしまっている
・新卒一括採用に頼らない「通年採用」が重要視されている
などがあげられます。
ただし、この廃止に伴って採用日程が自由になるというわけではありません。
政府は、すぐに就活ルールを廃止してしまうと学生の混乱を招くとして、以降も政府主導のもと就活ルールを継続するとしています。
ですので、一旦は経団連主導から政府主導に切り替わっただけということになりますね。
学生の就活スケジュールは?
企業の採用計画を立てるためにはまず、学生の動向を知る必要があります。
2021年卒の学生の就活スケジュールについてみていきましょう。
「【2021年卒版】新卒採用のスケジュール」から引用
【~2月】
採用広報の解禁は3月になりますが、インターンシップやOB・OG訪問といった形で学生の就活はそれ以前から始まっています。
インターンシップへの応募率は95%と高い水準になっており、就職活動においてインターンシップが一般的になっていることがうかがえます。
参考:「HR総研×就活会議:2021年卒学生の就職意識調査結果報告【1】」
企業としては、インターンシップで多くの学生とコンタクトを取っておくことが重要になりますね。
【3月~5月】
3月で採用広報が解禁されると、マイナビやリクナビといった求人サイトで一斉に求人情報が公開され、企業へのエントリーが始まります。
選考が開始する6月までは、会社説明会への参加やエントリーシートの作成・提出が主な活動となります。
しかし、上記はあくまで経団連加盟企業のスケジュールなので、経団連非加盟企業や多くの外資系企業ではこの段階ですでに選考が始まっていることがほとんどです。
【6月~9月】
6月に入ると選考が解禁になります。
経団連加盟企業では書類選考や面接が随時行われていきます。
一方、非加盟企業では、2巡目、3巡目の選考を行っているケースが多いです。
これは、6月までに選考を受けたが内定がもらえなかった人や経団連加盟の大企業の選考に落ちてしまった人が新たに応募をし始めることを指しています。
この時期は内定を出すことができないため、企業は「内々定」という「内定」が内定していることを通知します。
【10月~】
内定通知の解禁となるため、経団連加盟企業から続々と内定の連絡が来ている時期になりますが、内定が出ていない学生はこの段階でもまだ選考を続けています。
ちなみに、内定式は10月1日に行っていることが多いですね。
企業の採用スケジュールは?
学生の採用スケジュールがわかったところで、それに合わせた企業の採用スケジュールをみていきましょう。
「【2021年卒版】新卒採用のスケジュール」から引用
【~2月】
採用広報が解禁される3月までは採用計画の立案、採用活動の準備、インターンシップの開催が主に行われます。
採用計画の立案
採用活動を始めるにあたり、まずは採用計画を立てる必要があります。
具体的には
①採用目標、採用目的を明確にする
②採用要件を決める
③ペルソナ(求める人物像)を設定する
④選考方法や評価方法を決定する
といった流れで内容を決めておくと、採用活動がスムーズに進むでしょう。
採用計画が明確になっていないと、効果的な採用活動ができなかったり、ミスマッチ採用につながったりする可能性が高まってしまいますので、時間をかけて計画してみてください。
採用計画の立て方についてもっと詳しく知りたい方は「採用計画が採用成功のカギを握る?具体的な採用計画の立て方も伝授します」をご覧ください。
採用活動の準備
準備の内容としては、求人原稿や求人広告の作成、会社説明会の準備が挙げられます。
・求人原稿・求人広告の作成
求人原稿については各媒体社や求人広告代理店に依頼するケースが多いと思います。取材対応はもちろんのこと、より効果的な原稿にするためにも任せっきりにならないように担当者としっかりと話し合いましょう。
また、求人広告の準備だけではなく、採用サイトの作成や会社案内用のパンフレットなども準備する必要があります。作成には非常に時間がかかるため、なるべく早い段階で作り始めることをおすすめします。
さらに、これらすべてに共通することですが、昨年まで使用していたものがある場合でも必ず更新の必要があるかを確認するようにしましょう。
募集内容が変更になっていたり、古い企業情報が記載されていたりすると、マイナス印象につながるだけでなく、ミスマッチ採用の可能性も高まってしまいます。
・会社説明会の準備
会社説明会は自社の魅力をアピールするための貴重な機会になります。また、合同説明会であれば、自社にまだ興味を持っていない層にもアプローチができるため、応募者獲得の機会として欠かせません。
しかし、準備をおろそかにしてしまうと学生に響かない内容になってしまい、せっかく話を聞いてもらえても応募につながりづらくなってしまいます。
ですので、自社の魅力を伝えられるようにしっかりと準備をしましょう。
会社説明会では
・会場の決定
・当日の予定表や台本の作成
・会場のレイアウトの決定
・使用する備品の用意(プロジェクター、マイク、机、椅子など)
・配布資料の用意(パンフレット、チラシ、販促物など)
・アンケート用紙の用意
・リハーサル
といった準備が必要になります。
当日グダグダにならないためにも、事前の準備を怠らないようにしてくださいね。
【3月~5月】
3月になるとついに採用広報が解禁されます。どの企業も一斉に求人情報を公開して、本格的に採用活動がスタートします。
この期間では、エントリーの受付と会社説明会が主な活動内容ですね。
採用広報開始・エントリー受付
求人サイトへ求人情報を掲載すると、応募者からエントリーが来ます。
しかし、特に中小企業では応募を待っているだけでは採用したい人数が確保できない場合が多いです。
求人サイトのスカウトメールやDMを使って、企業から学生に積極的にアプローチをしましょう。
・会社説明会
会社説明会と聞くと、その企業の理念や事業内容、業務についての説明が一般的だと思います。しかし、これらの情報はあくまで「企業が学生に伝えたい情報」です。
会社説明会を実施する上で最も重要なのは、「学生が求めている情報を伝える」ことです。
学生が求めている内容は、「具体的な仕事の内容」「福利厚生などの待遇面」「社内の雰囲気」などが多いです。
実際に自分が働いた時のことをイメージできるような内容が伝えられると、説明会への満足度も上がるでしょう。
また、学生は複数企業の会社説明会に応募しているため、忘れられたり来れなくなったりするケースも少なくありません。
参加率を上げるためにも、開催前のリマインドメールや、急遽これ無くなった場合の対応方法についての案内をするようにしましょう。
効果的な会社説明会の実施については「学生の心を掴む会社説明会とは?」をご覧ください。
【6月~9月】
6月からは選考が開始になります。
選考内容は企業によっても異なりますが、「書類選考」「筆記試験」「面接」「グループディスカッション」などが一般的です。
選考には役員や各部署の責任者といった多くの人が関わるため、誰が選考しても同じ基準で判断できるように、選考基準はあらかじめ設定しておきましょう。
また最近だと、コロナウイルスの影響で人との接触を避けるためにオンライン面接を取り入れている企業も多くあります。
オンライン面接について詳しく知りたい方は「オンライン面接とは?効果的なやり方やおすすめのツールもご紹介!」をご覧ください。
【10月~】
10月からは内定通知が解禁となります。
多くの企業では10月1日を内定式としているでしょう。
しかし、売り手市場となっている現在では、複数内定をもらっている学生も珍しくありません。
これにより、内定が承諾される割合が年々下がっています。
就職みらい研究所「就職プロセス調査(2019年卒)」の調査によると、内定辞退率が67.8%となっているため、内定が承諾される割合はたったの3割です。
内定の承諾がもらえず選考が長引いてしまうと、手間もお金もかかってしまいます。
企業は内定を出した後も、いかにして内定を承諾してもらうかを考える必要がありますね。
内定承諾率を上げる方法について詳しく知りたい方は「内定承諾率とは?新卒採用の内定承諾率を上げるためにできること」をご覧ください。
新卒採用のスケジュール決定において企業が気を付けるポイント3つ
学生の就活と企業の新卒採用のスケジュールをそれぞれみてきました。
これらを基に、企業が新卒採用のスケジュールを決める際に気を付けるべきポイントをご紹介していきます。
学生の就活スケジュールを把握する
学生が就活を始める前に求人を出しても効果は見込めません。
どんなに効果的な採用活動を行っていてもタイミングを逃してしまっては効果が半減してしまいます。
学生の動向をしっかりと把握した上で、採用活動のスケジュールを決めるようにしましょう。
競合他社の動向をチェックする
自社が採用で苦戦している中、同業界の他社では採用が成功しているかもしれません。
もちろん、他社と同じ方法で採用活動が上手くいくとは限りませんが、参考にすることは出来ます。
競合他社がどのように採用活動を行っているのかはしっかりとチェックし、参考にできるところは自社の採用活動にも積極的に取り入れましょう。
ただし、競合他社と全く同じスケジュールで動くとターゲットとなる学生も被ってしまうため、応募者の減少にもつながってしまう可能性があります。
時には意図して競合他社と採用時期をずらすといった施策を検討する必要もあるかもしれませんね。
採用スタート前の準備をしっかりする
行き当たりばったりで採用活動をしてもうまくいきません。
まずは採用の準備をしっかりとすることが大事になります。
いつまでにどんな人を採用したいのかなど、しっかりと採用計画を立ててそれに沿ったスケジュールを組みましょう。
準備を怠ってしまうと、動くべき時期に動けなかったり、動くタイミングが上手くいかなかったりする可能性が高まってしまいますよ。
時代は通年採用!?今注目の採用手法とは
売り手市場による採用難を乗り越えるため、新卒一括採用に頼らない新しい採用手法を用いる企業が増えています。
今までのような応募者を待つ「守りの採用」ではなく、自社で積極的に学生にアプローチをする「攻めの採用」が注目されているのです。
今注目されている新しい採用手法をいくつかご紹介していきます。
オウンドメディアリクルーティング
オウンドメディアリクルーティングは、求人メディアに頼らず、独自の選考プロセスで採用活動を行うことを指します。
自社のコーポレートサイトや採用サイトを用いるケースが多く、選考時期や選考方法も全て自社の裁量で決定します。
転職潜在層へのアプローチが可能な点や長期的にみると採用コスト削減につながるといったメリットがありますよ。
オウンドメディアリクルーティングについて詳しく知りたい方は「オウンドメディアリクルーティングとは?その方法から効果まで解説」をご覧ください。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、SNSなどを活用して企業から学生に対して直接アプローチをする手法のことを指します。
まさに、「攻めの採用」の代表的な手法といえるでしょう。
ダイレクトリクルーティングは、転職潜在層へアプローチできる点や採用のミスマッチを防ぐことができるといったメリットがあります。
ダイレクトリクルーティングについて詳しく知りたい方は「ダイレクトリクルーティングとは?新卒・中途それぞれに適したサービスもご紹介!」をご覧ください。
逆求人
逆求人とは、企業が学生の情報をみてオファーをする採用手法です。
企業の求人情報みて学生が応募する従来の手法とは正反対の採用活動になります。
企業が欲しいと思った人材に直接アプローチできるため、ミスマッチ採用が起こりづらく、高スペックな人材を獲得できる可能性があるといったメリットがあるのです。
逆求人について詳しく知りたい方は「逆求人とは?メリットと逆求人を利用できるサイトをご紹介!」をご覧ください。
リファラル採用
リファラル採用とは、既存の社員から紹介してもらった人材を選考する手法を指しますが、新卒採用においては、すでに内定を出した学生から紹介をしてもらうケースが挙げられます。
採用要件にフィットした学生を採用しやすいことや紹介者の内定辞退を防げるといったメリットがありますね。
リファラル採用について詳しく知りたい方は「リファラル採用とは?メリット・デメリットと成功させるコツをご紹介」をご覧ください。
翌年春入社にこだわらない採用
最近では採用時期をガラッと変えてしまう方法も増えています。
例えば、大学1年生から選考を始めたり、インターンシップで選考も並行して行ったりしている企業もあります。
他企業が選考を始める前に優秀な人材にアプローチができる点で多くのメリットがありますが、企業によっては就活ルールに反してしまう点や内定から入社までの期間が長くなるため、内定辞退の可能性も高まってしまうというデメリットもあります。
定期的に学生とのコミュニケーションを取って内定者を囲い込むことが重要ですね。
採用スケジュールを正しく理解し、適切な採用計画を立てましょう
採用スケジュールを把握することは、採用を行うにあたって必須となります。
本記事を参考にして、自社に適した採用スケジュールを設定してみてください。
また、新しい採用手法も併せて活用して採用成功を目指しましょう。